増の血を引く者の書き物

つい始めた、ついに始めた

『木曜日は呪われている』

 ‪ 僕にしか聞こえないらしいその音は、決まった曜日に聞こえてくる。時間はバラバラで、ふと思考が途切れた時や、目線を足もとに落とした時に多い気がする。コツコツでもない、ザワザワでもない、言葉に当てはめることは不可能な音だ。小さい音かと思えば、耳を塞ぎたくなるほど大きい時もある。短いと思えば、何時間も聞こえる時もある。曜日以外は本当にバラバラだ。‬
‪  ほら、まただ。また聞こえだした。すぐそばから聞こえているようで、ずっと遠くから聞こえているようにも思える。それが聞こえている間は、他の思考が鈍り、ゆっくりとその音に耳を傾けるしかなくなる。町に救急車が通った時と同じだ。数秒間意識が強制的に持っていかれ、やがて消える。今もまだ聞こえている。「救急車」のせいでこの文章を書くにも時間を要する。誰かこの音を止めてくれる人はいないのだろうか。僕だけに聞こえるこの音を。‬

 

『木曜日は呪われている』

 

 

   この作品は、かの有名な増の血を引く者の未発表の作品だと言われています。粗削りで、マクベス的要素を多く取り入れた‪文章は‬、彼女自身がその当時、思い悩み苦しんでいたことが分かります。‪論文によると‬、当時の木曜日には、休みたくても休めない鎖のようなものが彼女を縛っており、彼女自ら「呪い」と表現していたそうです。(2072年7月4日)

出典-私です
参考文献-私です